
就活生にとって貴重な情報源となるOB/OG訪問。成功のカギを握るのが「どんな質問をするか」です。
ただ漠然と話を聞くだけでは、ネットで得られる情報以上の価値は引き出せません。業務内容や働き方、社風、キャリアパスなど、目的に応じた具体的な質問を準備しておくことで、リアルな企業像や業界の内情を知ることができます。
本記事では、OB/OG訪問に興味がある就活生に向けて、訪問前に必ず押さえておきたい質問例をジャンル別に紹介。
さらに、失礼にならない聞き方や避けた方がよい質問も解説し、初めてでも安心して活用できる構成にしています。内定につながる訪問にするための準備を解説します。
OB/OG訪問で質問を準備すべき理由

OB/OG訪問は、就活生が企業理解を深めるための貴重な機会です。ただ漫然と話を聞くだけでは、ネットで拾える情報以上のものは得られません。
だからこそ、あらかじめ質問を準備しておくことが鍵となります。
質問を通して得られる“リアルな声”は、あなたの志望動機の深堀りや、入社後のミスマッチ回避にもつながります。社会人への礼儀としても、準備の有無は見抜かれます。成功する就活のスタートは、質問準備から始まります。
ネットでは得られない“生の情報”を引き出せる
企業の公式サイトや就活口コミサイトでは、情報がどうしても“整えられた表層”にとどまります。
たとえば「風通しの良い職場」や「若手が活躍中」といった定番フレーズは、どの企業でも見かけますが、実情とは異なるケースも珍しくありません。
OB/OG訪問で質問を準備することで、配属後のリアルな業務内容や職場の人間関係、上司との距離感、残業時間の実態など、ネットでは絶対に拾えない“泥臭いけれど本質的な情報”を引き出すことができます。
就活における情報格差を埋める武器になり、他の候補者との差別化にも直結します。
入社後のミスマッチを防ぐことができる
就活は“選ばれる”場面でもありますが、同時に“選ぶ”視点も必要です。
どれほど志望度の高い企業であっても、入社後に「思っていたのと違った」となるのは避けたいものです。そのミスマッチを防ぐためには、表面的な情報だけでなく、自分の価値観やキャリア観と照らし合わせた“リアルな現場”を知ることが重要です。
たとえば
「成果主義と聞いていたが、実際には年功序列が根強い」
「フルリモートOKと書いてあるが、部署によっては出社が当たり前」
といったギャップは、事前にOB/OGへの質問で明らかにできます。質問準備は、自己防衛策であり、納得感のあるキャリア選択の第一歩です。
社会人に好印象を与えるマナーにもつながる
OB/OG訪問は、企業選びの手段であると同時に、あなたの“人間性”や“姿勢”を見られる場でもあります。
質問を何も準備せずに臨むと、「この学生はただ情報をもらいに来ただけだな」と思われ、印象を悪くしてしまうリスクもあります。
一方で、事前に企業研究をしたうえで具体的な質問を用意してくる学生は
「本気度が高い」
「準備力がある」
「社会人としての礼儀をわきまえている」
とポジティブに受け止められやすくなります。
実際に、多くのOB/OGが「質問力の高い学生には、自分の時間を割いた価値を感じる」と述べています。
質問準備は、あなたの印象をワンランク上げる就活マナーでもあるのです。
OB・OG訪問で質問するとしたら何個くらい用意すればいい?

OB・OG訪問では、最低でも10個以上の質問を用意しておくのが基本です。
実際の所要時間は30分〜1時間が一般的で、会話の流れや相手の回答スタイルによって、事前に用意した質問の半分程度しか消化できないこともあります。
しかし、質問が少なすぎると会話が途切れたり、浅い内容で終わってしまうリスクがあるため、優先度の高い質問5〜6個+予備の質問5〜10個を準備しておくのが理想的です。
特に
「この企業に行きたい理由を深めたい」
「仕事内容のリアルを知りたい」
「働き方やキャリアの不安を解消したい」
といった明確な目的がある場合、その目的に合わせてジャンルごとに質問を絞り込むのがポイントです。
また、用意するだけでなく、会話の中で“どのタイミングで聞くか”の流れもイメージしておくと、自然なやり取りができ、社会人としての印象も格段に良くなります。
質問の数は「情報収集の質」に直結します。準備量は、熱意の証。数を用意することで、相手の信頼を引き出す“本音の答え”に近づけるのです。
OB/OG訪問で聞くべき質問一覧【ジャンル別】

OB/OG訪問では、単に「何か質問ありますか?」と聞かれて出てくる即興の内容では、本質的な答えは得られません。事前に目的を明確にし、ジャンル別に質問を整理することで、自分にとって必要な“情報の質”が格段に向上します。
以下では、実際に就活生が使える質問例をジャンル別に紹介します。ありきたりなテンプレ質問ではなく、回答者の“本音”を引き出せる切り口を意識した内容です。
仕事内容・1日の流れについての質問例
「どんな仕事をしているか」は就活生にとって最も気になるポイントのひとつ。しかし、公式サイトの職種紹介では語られない“現場感”こそが、入社後のギャップを防ぐヒントになります。
たとえば以下のような質問が効果的です。
- 現在の業務内容を、1日のスケジュールに沿って教えてください
- 1週間で一番忙しい時間帯や曜日はいつですか?
- 新人時代と今で仕事内容にどんな変化がありましたか?
- 入社後どのくらいで1人で仕事を任されましたか?
- チームで働く時間と個人で完結する時間のバランスは?
“リアルな時間配分”や“役割の変化”など、働き方の実感に迫る質問が、入社後のミスマッチを防ぐカギになります。
会社の雰囲気・人間関係に関する質問例
会社の“雰囲気”や“人間関係”は、入社後の満足度を大きく左右します。特に若手社員や管理職との距離感、上司に相談しやすい空気感は、就活では見えにくい部分です。
たとえば以下のような質問が効果的です。
- 配属された部署の雰囲気はどんな感じですか?
- 同期や上司との関係性で良かった点・困った点は?
- 飲み会やイベントなど、社内交流は活発ですか?
- チームメンバーとの雑談や相談の頻度は?
- 働きやすさを感じる瞬間って、どんなときですか?
曖昧な「雰囲気が良い」ではなく、“具体的な行動やエピソード”を聞き出せる質問がベストです。
キャリア・異動・昇進に関する質問例
将来の働き方を見据えるなら、キャリアパスや評価制度の仕組みは必ず押さえておくべきジャンルです。新卒で入っても、3年後・5年後にどんな仕事をしているのか。その“道のり”を知ることで、人生設計に深みが出ます。
質問例としては、
- 入社から今までで、どんな異動や役割の変化がありましたか?
- 昇進や昇格の基準は明確にありますか?
- 他部署への異動や希望はどのくらい通りますか?
- 若手のうちに挑戦できる仕事はどこまでありますか?
- 逆に、成長を感じづらいと感じたタイミングはありますか?
“成功体験”だけでなく、“停滞感”や“モヤモヤ”も聞けると、よりリアルなキャリア像が見えてきます。
仕事のやりがい・大変なことに関する質問例
「この仕事は面白い」と言われても、何が面白くて、どう乗り越えたのかがわからなければ判断材料になりません。やりがいと苦労は表裏一体。
だからこそ、両面をセットで聞くことが重要です。
たとえば
- 最近“この仕事をしていて良かった”と思った瞬間は?
- 逆に、辞めたいと思った経験はありますか?
- 入社前の理想と、実際に働いてみてのギャップは?
- モチベーションが下がったとき、どう立て直しますか?
- 社会人1年目で一番しんどかったことは何でしたか?
“成功談”より“失敗談・葛藤”にこそ、就活生にとってのリアルな学びがあります。
就活・選考に関するリアルな質問例
最後に、就活や選考に関する質問は、あくまで“自己成長”や“企業理解”を深める目的で聞くのが正解です。たとえば次のような切り口が有効です。
- 就活時、なぜ今の会社を選びましたか?
- 選考で評価されたと感じるポイントは?
- 落ちた企業と受かった企業の違いは何だったと思いますか?
- 今だから言える「就活でやっておいてよかったこと」は?
- 就活中に不安だったことや乗り越え方はありますか?
“過去の自分と同じ立場だったからこそ”引き出せる、リアルな就活経験談は、企業選びの指針になります。
逆にNGな質問例とその理由

OB・OG訪問は企業理解を深めるチャンスですが、何を聞いてもいいわけではありません。聞き方や内容次第では、相手に不快感を与えたり、社会人としての常識を疑われたりするリスクもあります。
特に、デリケートな待遇面やネガティブな誘導質問、調べればわかる初歩的な内容は避けるべきです。失礼な印象を与えるだけでなく、「この人に紹介して大丈夫か?」と評価を下げてしまう可能性もあります。NG質問の具体例とその理由を確認しておきましょう。
年収・福利厚生など“デリケートすぎる話題”
「年収はどのくらいですか?」
「ボーナスは出ますか?」
「有給ってちゃんと取れます?」
このような待遇面に関する質問は、たとえ気になっていたとしてもOB・OG訪問の場でストレートに聞くのはNGです。
なぜなら、金銭や制度の話は個人差が大きく、答える側にも気まずさや立場的な難しさがあるからです。聞かれた方が「答えづらいな…」「この人、待遇しか見てないな」と感じると、印象はマイナスに振れてしまいます。
どうしても福利厚生について知りたい場合は、「働きやすさを感じる瞬間は?」「制度でありがたいと感じているものはありますか?」と、制度ではなく“実感”にフォーカスする質問に言い換えるのがコツです。
会社や人の悪口を誘導するような質問
「ぶっちゃけブラックじゃないですか?」
「パワハラっぽい上司っています?」
「この部署って雰囲気悪いって聞きました」
このように、ネガティブな回答を引き出そうとする質問は絶対にNGです。
たとえ真実を知りたくても、こうした聞き方では相手に“悪口を言わせる意図”が透けて見えてしまい、会話が不穏な空気になります。
相手も現役社員である以上、ネガティブな発言にはリスクがあるため、本音を引き出せるどころか口を閉ざされてしまう可能性も。
もし働きづらさやトラブルの有無を知りたい場合は、「どんなときに大変さを感じますか?」「どんなタイプの人が合わないと思いますか?」など、“状況”や“相性”に落とし込んで質問するのが建設的です。
HPや説明会で調べればわかる内容
「御社の事業内容を教えてください」
「部署はどう分かれているんですか?」
「福利厚生は何がありますか?」
このような質問は、事前に調べればすぐにわかる情報であり、OB・OG訪問の場で聞くべきではありません。
なぜなら、「この人、何も準備してきていないな」と思われ、志望度の低さや調査力の欠如を印象づけてしまうからです。特に「調べればわかる=本気度が見えない」と判断されやすく、今後の紹介や選考に影響することも。
ただし、調べた上で「〜とHPに書いてありましたが、実際はどうですか?」という“調査済み前提+実情への興味”という形にすれば、知的で誠実な印象を与えることができます。質問には“リサーチの跡”を必ず乗せましょう。
質問リストはいつ送る?原則「訪問の2〜3日前」までに送るのがマナー

OB・OG訪問で事前に質問リストを送るのは、社会人への最低限の礼儀です。ベストなタイミングは、訪問予定日の2〜3日前まで。
これより遅くなると、相手が準備できなかったり、仕事の合間に対応する時間を取れなかったりする可能性があります。また、送る際は“箇条書き+簡単な補足”というフォーマットが好ましく、「すべてに回答してください」という圧力をかけない配慮も重要です。
リストを事前共有することで、訪問当日の会話もスムーズになり、質の高い情報が得られやすくなります。社会人との接点は“印象”の積み重ね。メール1本で、印象が大きく変わるのです。
まとめ

OB/OG訪問は、企業の“表に出ない情報”を得られる貴重な機会です。しかし、その価値を最大限に引き出すためには、事前の質問準備とマナーある対応が不可欠です。
ジャンル別に質問を整理し、本音を引き出す工夫をすることで、志望度の深掘りやミスマッチ回避につながります。一方で、NG質問を避けることも社会人としての信頼を得るカギ。適切な質問とタイミングで、印象アップと有益な情報獲得の両立を目指しましょう。



