面接で、ほぼ必ずといって良いほど質問されるのが、自己紹介です。就活の面接という場での自己紹介について、何を話せばよいか分からないという学生は多いのではないでしょうか。もしくは、自己紹介なんて、いつも通りやれば大丈夫、と考えている方もいるかもしれません。
では、就活の面接での自己紹介は何を、どのように話せばよいのでしょうか。これを考えるには、自己紹介を聞く側、面接官の視点に立って考えると良さそうです。
ここでは、面接官が自己紹介に求めることを考慮した上で、何を、どのように伝えることによって、好印象を与えることができるのか、例文付きで解説していきます。
また、面接対策について網羅的に解説している記事もあわせて読んでみてください。
面接官が自己紹介を求める3つの理由
自己紹介を考えるにあたって、重要になってくるのは、それを伝える相手、つまり面接官が自己紹介を求める理由を理解することです。これを理解することで、何を、どう伝えるべきかが見えてきます。
面接官が自己紹介を求める理由は以下の3つ。
- アイスブレイク
- 人柄の把握
- 面接での質問に繋げる
それぞれ詳しく解説していきます。
理由①アイスブレイク
誰しも面接というのは緊張するものですし、そのことは面接官も分かっています。そこで、アイスブレイクとして自己紹介を話してもらうことで、お互いの距離を縮め、リラックスした雰囲気を作り出すことができます。
理由②人柄の把握
自己紹介は、就活生のコミュニケーション能力や第一印象を確認する重要な機会です。視線や表情、言葉遣いなどを通じて、人柄や基本的なマナーを把握することができます。
理由③面接での質問に繋げる
その後の質問に繋げやすくするためのきっかけ作りも兼ねています。自己紹介で触れた内容に基づいて具体的な質問が展開されるため、自分の強みや経験を自然に伝えることができる場となります。
好印象を与える自己紹介のポイント
上記3つの理由を踏まえたうえで、面接官に好印象を与える自己紹介のポイントについて解説していきます。
明るく元気な表情を意識
面接での自己紹介では、まず第一印象が大切です。面接官に良い印象を与えるためにも、明るく元気な表情を意識しましょう。笑顔は緊張を和らげる効果もあります。また、目をしっかりと見つめて話すことで、誠実さや真剣さを伝えることができます。就活の自己紹介では、面接官にも安心感を与えることが重要ですので、リラックスした表情を心掛けましょう。
1分程度でまとまるように、簡潔でわかりやすい言葉を選ぶ
自己紹介の内容は一分程度にまとめることが理想です。そのためには、簡潔でわかりやすい言葉を選ぶことが大切です。面接官に自分の情報をスムーズに伝えるためにも、事前に自己紹介の例文を準備し、何度も練習しておきましょう。
最初の基本情報(名前、学校、学科など)は約10秒、次に学生時代の活動や趣味、特技については20秒程度を目安に話します。続いて、自分の強みや意気込みについて20秒、面接を受ける理由や企業への熱意について10秒、および最後のまとめで約10秒を目安に、時間配分できると良いでしょう。
積極的な姿勢を見せる
面接の自己紹介では、積極的な姿勢を見せることもポイントです。自分がどのような人物で、何を達成したいのかを明確に伝えることで、面接官に強い印象を与えることができます。例えば、「大学生活で最も力を入れた活動は〇〇です」といった具体的な例を用いることで、自分の熱意や意欲を効果的にアピールすることができます。
自信を持った態度
面接官に対して、自信を持った態度で対応することは非常に重要です。自信に満ちた態度は、相手に対しても安心感や信頼感を与えることができます。また、自信を持っていることを示すことで、自己紹介の内容がより説得力を増します。
とはいえ、なかなか自信を持った態度というのは、なかなか難しい難しいものです。
自信を持って自己紹介を行うには、以下の3つをしっかり行いましょう。
- 自己分析
- 企業研究
- 自己紹介の練習(面接対策)
特に3つ目の練習は重要です。本番で緊張を和らげるためにも、事前に声に出して練習することを推奨します。また、友人や家族に協力してもらい、フィードバックを受けることで改善点を見つけることができます。鏡を使って自分の表情や話し方をチェックするのも効果的です。
繰り返し練習を行うことで、自信を持って自己紹介を行うことができ、本番での滑らかな回答にもつながります。
自己紹介で伝えるべき内容
自己紹介で伝えるべき内容は以下の3つです。
- 挨拶
- 名前・大学名・学部名の基礎情報
- 趣味・特技・性格やガクチカなど
- 志望動機・面接への意気込みなど
これらの内容を例文に落とし込むと、下記のようになります。
はじめまして。本日は面接の機会をいただきありがとうございます。○○大学△△学部××学科の◯◯(名前)と申します。 大学時代は、〇〇部に所属し、部長としてチームをまとめ、大会で優勝に導いた経験があります。この経験を通して、目標達成のために努力を惜しまないことと、チームワークの大切さを学びました。 御社を志望した理由は、〇〇です。特に、〇〇という事業に携わりたいと考えております。 これまでの経験を活かし、御社で貢献していきたいと思っております。 本日はどうぞよろしくお願いいたします。 |
これらの内容を、1分程度で簡潔に伝えられるように練習しましょう。
内容①挨拶
緊張すると忘れがちになりますが、挨拶はしっかり行いましょう。
【例】本日は面接の機会をいただきありがとうございます。 |
内容②名前・大学名・学部名の基礎情報
最初に、下記のポイントを話しましょう。
- 自分の名前
- 在籍している大学名
- 学部・専攻
あくまで、必要最低限の情報ではあるものの、面接官があなたを知る上で重要な情報です。聞き取りやすい声で、はっきり伝えるようにしましょう。
【例】私は、○○大学△△学部××学科の◯◯(フルネーム)と申します。 |
内容③趣味・特技・性格など
自分の人となりをよりよく伝えるために、趣味、特技、自分の性格を短く紹介します。また、もし学生時代に力を入れたこと(=ガクチカ)があれば伝えるようにしましょう。
趣味や特技、性格、ガクチカはあなた自身のアイデンティティを面接官に認識してもらう上で、重要な項目になります。例文としては下記の文章を参考にしてみてください。
【例:部活】 大学時代は、〇〇部に所属し、部長としてチームをまとめ、大会で優勝に導いた経験があります。この経験を通して、目標達成のために努力を惜しまないことと、チームワークの大切さを学びました。 |
【例:趣味】 私の趣味はランニングで、週に数回10キロメートル走っています。この趣味を通じて得た忍耐力と継続力を仕事にも活かし、常に前向きに努力する姿勢を持ち続けたいと思っています。また、ランニングイベントの運営を手伝った経験から、協調性やリーダーシップも培うことができました。 |
【例:アルバイト】 私は大学生活の中で〇〇カフェでアルバイトをしていました。そこでの接客業務を通じて、コミュニケーション能力と問題解決能力を磨きました。特にクレーム対応では、お客様の気持ちに寄り添い、適切な対応をすることで信頼を得ることができました。 |
【例:研究】 大学では主に〇〇に関する研究に取り組んでおりました。その研究を通じて計画性や問題解決能力を養うことができました。たとえば、□□プロジェクトではリーダーとしてチームをまとめ、期限内に目標を達成することができました。 |
ガクチカがなければ、趣味や特技、性格で問題ありません。どちらにしても自己紹介の後にある自己PRでも同様の内容を話すので、要約して話せるようにしましょう。
内容④面接への意気込み ・志望動機
自己紹介の最後には、意気込みや志望動機を伝えるようにしましょう。主に下記の2点をおさえるようにしましょう。
- 面接を受ける企業で魅力に思ったこと
- 面接を受ける企業に入ってやりたいこと
面接への意気込みは、面接官のあなたへの評価に影響する部分です。しっかり感情を込めて伝えるようにしましょう。
【例】 御社を志望した理由は、〇〇です。特に、〇〇という事業に携わりたいと考えております。 これまでの経験を活かし、御社で貢献していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 |
自己紹介を1分で完結させるコツ
自己紹介を1分で完結させるコツとしては主に下記の3ポイントです。
- コツ①|とにかく事前に繰り返し練習する
- コツ②|強調したいポイントを3つに絞る
- コツ③|200文字から300文字程度をイメージする
それぞれ詳細に解説していきます。
コツ①|とにかく事前に繰り返し練習する
自己紹介は、練習によって大きく改善できる部分です。練習を重ねて、言葉を選ぶ時間を減らし、スムーズに話せるようにしましょう。
また、練習することで自信を持って話せるようになり、緊張せずに面接に臨むことができます。実際にタイマーを使って1分間の中で話す練習をし、簡潔かつ印象に残るように磨き上げていきましょう。
コツ②|強調したいポイントを3つに絞る
自己紹介の際は、伝えたい情報が多すぎると聞き手にとっては理解しにくくなります。そのため、特に重要だと思うポイントを3つに絞り込み、それらを中心に話を構成すると良いでしょう。
重要と思うポイントは、自分が最も伝えたいと思っているのある部分であるべきです。例えば、下記のポイントを伝えたいのであれば、その部分の情報量を多くしても良いでしょう。
- ガクチカ
- 志望動機
- 会社に入ってからやりたいこと
これにより、メッセージが明確になり、記憶に残りやすくなります。
コツ③|200文字から300文字程度をイメージする
1分間で話す際の文字数を200文字から300文字程度に制限することも効果的です。この文字数は、一般的に人が1分間に話すことができる量に相当します。
自己紹介を事前に書き出してみて、この文字数に収まるよう調整しましょう。簡潔に自分のことを表現する訓練にもなります。
面接官の印象を良くするためのテクニック
ここでは、面接官に対してポジティブな印象を残せるテクニックについて解説していきます。
テクニックについては、適度に行うことが大切です。過剰に行うと、逆にネガティブな印象を与えることもあるので、気を付けましょう。
非言語コミュニケーションの活用
非言語コミュニケーションは、面接において大変重要な役割を果たします。
言葉だけでなく、表情や身振り手振り、姿勢などのボディランゲージを通じて、面接官に自分の意欲や熱意を伝えることができます。例えば、面接の場で明るい表情を保つことにより、ポジティブな印象を与えることができます。
また、適度な頷きや笑顔を交えて会話を進めることで、面接官との距離感を縮めることができます。
面接官とのアイコンタクト
面接中において、アイコンタクトは非常に大切です。
アイコンタクトを積極的に行うことで、面接官に対し誠実さと自信を伝えることができます。特に自己紹介の際には、面接官と適度に目を合わせることで、自分の話に対する関心と信頼を示すことができます。
しかし、過剰なアイコンタクトは逆効果になり得るため、気を付けることが必要です。自然に視線を交わしつつ、自分の話す内容や相手の反応を確認しながら進めることが重要です。適切なアイコンタクトを通じて面接官に好印象を与えることで、自己紹介や質問に対する回答が一層効果的なものになります。
自己紹介は複数のパターンを用意しておこう
自己紹介と一口にいっても、面接形式や面接官が自己紹介を促す言葉によって内容が微妙に変わることがあります。緊張した状態で話す自己紹介は、できるだけ詰まらないで答えたいところなので、事前に複数のパターンを用意しておきましょう。
筆者は、1分のものをベースに、以下の3パターンを用意していました。
- 大人数での集団面接用の短めのもの(20秒)
- 二人もしくは個人面接用の少し長めのもの(40秒)
- 個人面接で1分程度の長めに話すことを求められた時用のもの(1分)
それぞれ話した内容は以下のとおりです。
- 名前、所属、ひとこと
- 名前、所属、大学で勉強したこと、ひとこと
- 名前、所属、サークル、その役職とそれに関連させた自分の強み、志望動機、ひとこと
最後のひとことは何か良さそうなものが思いつけばよいですが、特にない場合は「まだ緊張しておりますが、本日はよろしくお願いいたします。」のように無難に済ませてしまってもよいかと思います。(筆者は企業に合わせて用意していました。)
サークルの話題の代わりにバイトやボランティアなど、自分が話しやすい内容やその後の面接で使うエピソードの前振りになるような内容を話すのがよいと思います。間違っても面接官から突っ込まれて返答に困るような複雑な内容のものは避けましょう。
また、面接官から質問されそうな箇所にどうしても触れなくてはならない場合は、必ずその返答も含めて練習しておきましょう。
自己紹介で注意すべき2つのポイント
話しすぎ・自己中心的な内容
面接での自己紹介は、短くてわかりやすく、効果的であることが重要です。話しすぎると、面接官に対して余計な情報を与えてしまい、最終的に評価が下がる可能性があります。
自己中心的な内容も同様です。面接官は学生の人柄やマナーを評価するために自己紹介を確認しているので、自分の実績や魅力を過度に強調するのではなく、バランスの取れた話を心がけましょう。
ネガティブな表現
自己紹介の中でネガティブな表現を使ってしまうと、それだけで第一印象が悪くなってしまいます。
例えば、自分の失敗や欠点を強調するような話し方は避けるべきです。また、他人や過去の状況を批判するような内容もNGです。
面接官が求める要素は、ポジティブで明るい人柄や基本的なマナーですので、常に前向きな姿勢で自分を伝えることが大切です。
おわりに
自己紹介はアイスブレイク的な役割がそのメインとなりますので、緊張せずスラスラ話せるようにしましょう。
またその際に、話の内容だけでなく、話す声の大きさや速さ、抑揚にも気を配ってください。自己紹介は面接の冒頭にあり、面接官にとってその後の評価の基準になります。
自分が話しやすく、かつ相手も聞き取りやすいように練習しておくということを意識しましょう。面接の入り口である自己紹介に自信を持って答え、その後の質問で自分のペースを掴めるように、万全の対策をしてくださいね。