船の構築・修理を行う造船業界。海運業界は、造船業がないと機能しないため、とても大切な業界といえます。とはいえ、造船業界という言葉はあまり聞き慣れていないかもしれません。
そこで今回は、造船業界の仕事内容や、今後の動向、そこから見えてくる就職後の将来性についてご紹介します。造船業界の就職を目指している方や、業界研究をしている方はぜひ参考にしてください。
造船業界の職種は?
造船業界特有の職種として、設計・製造・営業・資材調達の4つが挙げられます。造船業界は、基本的に技術職が中心となるため、専門的な知識が必要です。
また、他の業界とも共通する職種は、経営企画や人事、経理などがあります。ただし、企業によっては、総務として人事に関する業務や経理を行うなど、部署が混在している場合も。
仕事内容について
ここでは、造船業界の要の職種ともいえる、設計・製造・営業・資材調達の仕事内容についてご紹介します。
設計
製造する船舶の設計図の構成や、エンジンを作成・開発を行っています。営業がクライアントと決めた基本計画を元に設計するのが仕事です。
他にも、製品の試験施行やパーツの設計も仕事に含まれます。基本的に設計はパソコンを使って行われます。
製造
設計図に基づいて船を建造していくのが、製造部署の仕事です。製造管理や、品質管理などを行います。最近は、製造工程にロボットが使用されるようになりましたが、手作業が必要な部分もあります。熟練の技が必要な場合もあり、製造の仕事には専門の技術者が必要です。
営業
船を売るために、顧客に営業していきます。基本的に船は、1隻ごとにオーダーメイドのため、造船業界の営業はクライアントに対し、時代や経済状況、企業に合っている船舶を考案するのが一般的です。
具体的には、クライアントの船舶について情報収集し、その情報を元にクライアントに合った船舶の図面を用意して、売り込んでいきます。図面の作成は、設計にかかわっている方も一緒に準備するケースが多いでしょう。
また、日本の造船業界は、海外にも十分に需要があるため、国内だけではなく海外にも営業に行く必要があります。
資材調達
船舶を製造するにあたり、必要な材料を調達する仕事です。鋼材や電線、エンジンに必要な資材などを調達し、納期の管理や支払い手続きなどを行います。
造船業界の今後の動向は?
世界の造船シェアに目を向けてみると、世界のトップは、日本・中国・韓国の3カ国で、併せて9割のシェアを超えています。日本は、中国・韓国に次いで世界3位のシェアを誇る大きな産業です。
しかし、リーマンショックや船内騒音規制による駆け込み需要などにより、船腹過剰な状態に。そのため、造船業界は低迷していました。
現在は、徐々に回復傾向にあるといわれていますが、今後の動向は不透明な部分が多いと考えられるでしょう。
造船業界の就職後の将来性は?
設計や研究開発は、コンピューターが用いられるため、全体で見ると2割程度しかいないといわれています。一方で、技術職は、製造工程にロボットが取り入れられてはいますが、細かい溶接などはまだまだ人の手が必要です。そのため、造船業界で技術職として働く人は、8割にも上るといわれています。
業績の行く先や、人材不足などは、将来を見ると不透明な部分もありますが、企業は充実していると考えられます。
基本的に、造船企業は地方都市にあります。住宅手当が発生する場合や、寮が設備されているなど、充実している場所が多くあります。
おわりに
今回は、造船業界の今後の動向や、就職後の将来性についてご紹介しました。
造船業界はあまりなじみがないかもしれません。この先は不透明な部分もありますが、シェア率が3位という誇りがあります。機械やロボットが普及していますが、人の手も必要となるため、まだまだ人材が必要とされる業界です。