デジタルカメラは一般消費者向け製品で、コンパクトなサイズと扱いやすさから男女問わず人気があり、市場に登場した当時の売れ行きは好調でした。しかし近年は、高性能なカメラ機能を備えたスマートフォンの普及もあって売上が減少、カメラ業界は転機を迎えています。
今回は、こうしたカメラ業界の今後や課題、主なメーカーなどについて詳しく解説します。就職を希望している就活生は、企業研究の参考にしてください。
カメラ業界の動向とは?
カメラ業界を、フィルムカメラに代わって支えてきたデジタルカメラ。1995年の販売開始から販売台数は年々伸び続け、2008年には1億台以上の出荷数を記録しました。しかし2010年を境に、スマートフォンの需要拡大に伴い、デジタルカメラ市場は縮小傾向にあります。市場縮小や販売不振による業績悪化で、主要カメラメーカーは、事業縮小や希望・早期退社希望者を募るなど、苦戦を強いられています。
そんな中、明るい兆しを見せ始めたのが「ミラーレスカメラ」の登場です。高画質ながら、レンズと併せると重いものが多い一眼レフに比べ、軽量でコンパクトなところが人気の理由となっています。また、インスタグラムの流行で写真を撮るユーザーが増加し、さらに良い写真を撮りたいとミラーレスカメラの購入に至るケースも見られるようになりました。一部のハイエンドモデルを残し、一眼レフの販売は終息に向かうと予測されており、このミラーレスカメラがどこまで販売を伸長・維持できるかに注目が集まっています。
今後の課題
カメラ業界の各メーカーは、ミラーレスカメラといった新商品の研究・開発に力を注いでいます。しかし、手軽にSNSに投稿できるスマートフォンもどんどん高機能化してきており、ユーザーに対してどのような付加価値・サービスを提供できるのかが、事業展開の方向性と共に、今後の課題となるでしょう。
成長戦略
主要製品であるデジタルカメラの市場縮小に伴い、各企業の事業内容は大きく変わってきています。自社の技術やノウハウを活かして、医療機器や精密機器をはじめとする幅広い分野に参入し、事業を展開する企業が増えてきました。カメラ製品の枠にとらわれない新たな製品の開発と、高付加価値・サービスの提供が、企業の成長に繋がっていくことでしょう。
カメラ業界の主な企業
ソニー株式会社
SONYのロゴでカメラ製品だけでなく、ゲーム機や音楽機器など、幅広い製品を世に生み出しています。ブランド化されたSONY製品は、高品質なことから国内だけでなく海外でも人気があり、2017年度の連結売上高は8兆5,440億円となっています。フルサイズのミラーレス一眼市場では、2017年7月時点でソニーのシェアが99.8%と、ほぼ独占状態にありました。
株式会社ニコン
双眼鏡から始まり、顕微鏡やメガネといった「レンズ」作りが強みの企業です。その強みを活かして、医療機器や精密機器などの製品も手掛けています。2017年度の売上高は約7,200億円となっています。現在は「構造改革プラン」が進行中で、光学技術を活かした、ソリューション提供型のコンポーネント事業にも取り組んでいます。
キャノン株式会社
高性能なカメラ製品だけでなく家庭用プリンターから業務用プリンターの製品も有名な企業です。1996年から始まった「グローバル優良企業グループ構想」のもと、全世界販売網の再構築や将来事業の創出などを進めています。2017年度の連結売上高は約4兆800億円、商業印刷・ネットワークカメラ・ヘルスケア・産業機器の4つの新規事業を軸に戦略的大転換に挑戦中です。
カメラ業界で働く仕事内容
研究
研究職には、基礎研究と応用研究があります。主な仕事内容は、新製品開発に向けての、素材の探求や新要素・新技術の模索です。製品を作る上で欠かせない部署であり、専門の知識が必要となる仕事です。
開発・設計
主な仕事内容は、開発職が材料・ソフトウェア・システムの開発。設計職が、光学・システム・機械や機構・電気や電子回路の設計です。製品作りの根幹部分にあたる部署となる、重要な職種です。
製造
主な仕事内容は、加工・生産・製造の技術開発となります。製品が出来上がる最終工程の製造部門は、コストや生産量の管理など、製造全般における業務となります。そのため、機械・電気・経営工学といったさまざまな知識が必要とされます。
その他
その他にも、調達や品質管理、事務・営業などの一般企業にもある業務など、多様な職種があります。
先輩の声
日本のカメラメーカーは世界的にもブランド価値が高く、世界中の多くの人に使ってもらえる、大変やりがいを感じる業界です。また、カメラの技術を生かし他事業に参入し売り上げを伸ばしている企業など、企業により様々な戦略の特徴があるので、企業研究をしっかりとしておくことをおすすめします。
おわりに
スマートフォンの普及により、カメラ業界の売上高に最も貢献していたデジタルカメラの販売台数が減少し、各カメラメーカーは苦境に立たされました。しかし、新製品の開発や、技術力を活かした他分野への事業展開などを通して、明るい兆しも見えてきています。カメラ業界に就職を希望している就活生は、事業の動向をしっかり追い、企業研究を進めておきましょう。