出版業界はデジタル化で苦戦?業界の現状と今後の課題

2018.07.18企業研究・業界研究
出版業界はデジタル化で苦戦?業界の現状と今後の課題

近年、書籍の電子化やインターネット・SNSの普及に伴い、紙媒体の需要は低迷しています。2017年の書籍や雑誌の市場規模は1996年のピーク時から約半減、若年層の雑誌離れやコミック離れも市場を縮小させているといわれます。

このページでは、出版業界の現状と今後の見通し、また業界の仕事内容や代表的な企業の特徴などについて考えてみたいと思います。

出版業界の動向とは?今後の課題と成長戦略

出版業界の動向とは?今後の課題と成長戦略

日本の出版販売額は1990年代後半をピークに右肩下がりとなっています。雑誌は休刊が相次ぎ、コミック誌も紙媒体は不調、電子コミックは3割近く伸びているようですが、全体としてはやはり厳しい状況です。

日本の出版業界は流通方法が独特で、書店と出版社の間に取次会社が入った委託販売が主となっています。売れ残った本は書店から取次を通じ出版社へと返品されますが、返品率は4割とかなり高めで出版社は大きな損害を被ります。しかし、Amazonなど取次を介せず出版社と取引する動きも増えており、今後はそうした流通法が加速する可能性もあるでしょう。AIを活用して書店POSでデータを分析、読者の需要を予測して販売機会を拡大する体制も構築されつつあります。

また電子書籍市場はその8割をコミックが占め、全体としてはシェアが小さいため不況を補えないのが現状ですが、需要は高くその市場規模は右肩上がりに成長しています。つまり電子書籍を含めれば、ニーズは決して低くないのです。

今後の成長が期待される電子書籍コンテンツやサービスの基盤を整え、市場を拡大すること、紙媒体の根強いファンの期待に応えられるような質の高い書籍を作ることが出版業界の今後の課題だといえるでしょう。

出版業界の仕事内容は?職種と適材をご紹介!

出版業界の仕事内容は?職種と適材をご紹介!

企画・編集

読者のニーズに合った本を計画し、作り出すための仕事です。著者と打ち合わせを行い、マネジメントしながら本を世に送り出すというのは、出版業界の中でももっともやりがいがある職種といっても過言ではないでしょう。本が好きで、著者によって生み出されたアイデアを、さらに魅力的に膨らませられるタイプの、感性豊かで熱意を持った人が向いているのではないでしょうか。

校閲

石原さとみさん主演のドラマでも有名になった校閲部門。原稿の内容や文字の間違いを確認・修正するという、地道ながらも出版を支える大事な仕事です。チェックしたり、調べたりという細かい作業が苦にならず、好奇心旺盛で幅広い分野に興味があり知識を深めたいと考える人が適任だといえるでしょう。

販売・宣伝

出来上がった本や雑誌の認知度を高め、ヒットさせるための演出や宣伝などの販売戦略を立案します。マーケティング能力に長け、感性が豊かでコミュニケーションスキルの高い人にふさわしい仕事だといえるでしょう。

映像化・商品化の権利交渉・管理

小説やコミックなどの売上を伸ばすことを目標に、映像化・商品化するための営業や交渉を行います。契約に至った場合、版権など権利の管理業務も行います。新しいことに触れ吸収する柔軟性に富み、表現力豊かなタイプの人に適した仕事かもしれません。

どんな企業がある?各社の特徴を理解しよう

株式会社福音館書店

出版不況の中で堅調を維持している分野が学習参考書や児童書です。児童図書出版社である「福音館書店」は、2018年春、ボローニャ国際児童図書展でアジア部門の最優秀児童書出版社賞を受賞、日本の出版社では初となります。「ねないこだれだ」や「ぐりとぐら」などロングセラーとなっている作品も多く、収益が安定しているため就職先として人気が高いです。職種別採用はせず、入社後、営業や出版管理を経て出版の流れや基礎知識を把握してから適性を見極められるようです。子どもや絵本に対する情熱を持った人が求められます。

株式会社KADOKAWA

文芸出版社としてスタートした「カドカワ」は文庫と映画の連動により1970年代後半に爆発的なヒット作品を生み出しました。その後、いち早くゲーム事業やネット市場へも乗り出し、常に最先端を行く出版社だといえるでしょう。2016年度には「君の名は。」の映画化で関連書籍が大ヒットを収めました。2017年度決算ではその反動で大幅減益となったものの、ニーズが見込まれる電子書籍出版に積極的であることや、2018年度にはWebサービス事業で収益向上策を進める予定など大幅増益が見込まれています。

先輩の声

斜陽産業であると言われている出版業界ではありますが、紙媒体に囚われることなく、電子書籍をはじめとする新たなアプローチによりまだまだ成長が見込まれます。インターネットが身近にあることが当たり前である、今の若者のクリエイティブな思考が必要だと感じます。

おわりに

インターネットやSNSの急速な普及によって落ち込み気味の出版業界ですが、紙媒体と電子書籍を合わせるとニーズは決して低いわけではないといえます。電子書籍流通の基盤が整えられ市場を拡大させること、根強い人気の紙媒体においても、読者の需要を見極めた質の高い作品を作り出すことが課題だといえるでしょう。

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