面接は就職活動において、非常に重要なステップです。企業は面接を通じて応募者の人物像を直接確認し、その企業文化に合った人材かどうかを判断します。
また、履歴書だけでは伝えきれない、応募者のコミュニケーション能力や柔軟性、問題解決能力なども評価されます。
面接官にあなたの魅力を最大限に伝えるために、面接対策を行うことは非常に重要です。
ここでは、自信をもって面接に臨むために必要な、面接対策のポイントを紹介します。
面接で企業が求めていること、人事が確認していること
対策を行う上で、相手が何を求めているかを考えることは、とても大事です。相手の求めるポイントが分かれば、的確な対策を行うことができます。
ここでは、「企業が求めること」、「人事が確認していること」について解説します。
企業が求めていること
企業が志望者に求めている事は大きく分ければ『やる気』と『協調性』、そして経験に応じただけの『能力』だといえます。
新卒の就職活動性にとっては『やる気』がもっとも重要です。能力が未知数な新卒に対して、企業は入社後、どれだけ成長して、早く戦力になってくれるかを知りたいのです。やる気をアピールしてくる志望者を採用したいのは、当然の考えです。
そして、企業はチームプレーの場所です。和を乱すような人材はどの企業も避けたいと考え、協調性のある志望者に好感を持ちます。
また、留学経験や大学での研究成果をアピールしてくる人材には、言葉に見合っただけの能力や人間性が備わっているかを、会話から確認していきます。書類上の誇張や見栄が見抜かれる時間なのです。
人事が確認していること
実際に採用を担当しているのは企業の人事部です。人事部は就活生の現在の能力ではなく、「自社で活躍する可能性があるか」「組織風土にあっている人材か」を確認しています。
当然、履歴書に書かれている、出身大学やこれまでに力を入れてきた課外活動、志望動機も目を通しますが、それ以上に入社後に活躍する可能性はあるのかを判断します。
但し、理系の専門性の高い開発や研究職であれば、専門学部での学習・研究の経験がなければいけません。また、海外勤務であれば語学力やTOEICのスコアといった現状の能力で判断されることも理解しておきましょう。それらを踏まえて面接を行い、応募者の合否を判断していきます。
面接の事前準備4つのポイント
面接前には、事前準備をしっかりしましょう。準備をすることで、緊張が和らぎ、自信を持って面接に臨むことができます。
ここでは、事前準備の4つのポイントについて解説します。
ポイント①企業研究を入念に行う
面接対策をする上で、企業研究は非常に重要です。企業の事業内容や理念、業績などを理解することで、面接時の質問への答え方に説得力が増し、また志望動機にも具体性を持たせることができます。
特に押さえておきたいのは、企業理念です。企業理念をしっかりと把握したうえで志望していることが分かれば、面接官はあなたに熱意があると考えます。
企業のウェブサイトやニュース記事、SNSなどを活用して情報収集を行いましょう。さらに、企業の文化や求める人物像を理解しておくことで、自分自身のキャリアと企業の方向性が一致していることをアピールできます。
ポイント②履歴書は正しい情報を記載する
履歴書の準備は、面接対策の基本です。履歴書には自分の基本情報や学歴、職歴などを正確に記載しましょう。また、自己紹介や志望動機もしっかりと準備することが大切です。誤字脱字がないか、内容が一貫しているかを確認し、見栄えに注意して作成しましょう。
ポイント③メモを用意する
面接に挑む時にはメモを持ち歩き、予想される質問や自己PRを確認するようにしましょう。履歴書で自己PRを確認することもできますが、直前に履歴書に触れてシワがつく可能性もあるので、専用のメモを持参する事をおすすめします。
ポイント④服装と身だしなみの整える
面接時の服装と身だしなみは、第一印象に大きな影響を与えます。新卒の就活生は、スーツが基本となりますが、企業によってはカジュアルな服装を推奨している場合もあるため、事前に確認するが重要です。
また、服装だけでなく髪型や靴、爪などにも気を配り、清潔感を保つことが大切です。面接当日は、受付や控室での印象も大切です。身だしなみに気をつけることで、面接官に良い印象を与えることができます。
1次面接・2次面接・最終面接のポイント
面接にはさまざまな種類があり、目的に応じて使い分けられます。
1次面接のポイント
1次面接は、集団面接で開催されることが多くなります。そんな条件下では、『他の志望者よりも抜きん出てやろう』と考える志望者もいます。
しかし、面接とはトーナメントのように他の志望者を蹴落として進んでいく戦いではありません。自分の特性をアピールできて、面接官に見つけてもらえれば自然と採用への道筋が開けるものなのです。
他の志望者に心を乱される事なく自分のペースで面接に挑む事を意識しましょう。
面接官の立場になったら、集団面接でひとりだけ自分を誇示しようと必死になっている志望者がいればどう思うでしょうか。『協調性がなく周りの見えない』人間と考えるはずです。
謙遜しすぎる事はありませんが、過剰な顕示欲は控える事が肝心です。
2次面接のポイント
2次面接では個人面接になるか、1次面接よりも少ない人数での集団面接で、あなたの人間性が見極められます。
人数が少なくなれば、それだけあなた個人に割かれる時間が多くなり、1次面接以上に深く心をえぐるような質問が飛んでくることも、覚悟しましょう。
しかし面接とは、出された質問へ的確な答えを返すことだけがPRポイントではなく、むしろ面接時間全体の印象も大きなプラスポイントだといえます。どんな質問にも動じることなく、落ち着いて穏やかに会話を楽しむくらいの余裕を持って、2次面接には挑みましょう。
面接官も人間なので、会話が面白かった人間には思い入れが生まれます。2次面接では杓子定規なやりとりよりも、あなたの素直な人間力で勝負に出ましょう。
最終面接のポイント
最終面接とはつまり役員面接、あるいは社長面接を意味します。
これまでの面接で好感触があり、『採用の最終判断を上層部に委ねたい』と思われた人材が、最終面接へと進みます。そのため、最終面接にたどり着いたら、内定をもらったのも同然だと考えがちです。
しかし、最後まで気を引き締めて失敗をしないように、最終面接の対策を行いましょう。
最終面接で相手にするのは、これまで以上に高い役職の人です。当然、礼儀作法にも見る目が厳しくなります。また、人を見る目も、より厳格で、冷静になると心に留めておきましょう。
これまでの面接で見逃されていた心の甘さ、弱さをつかれないように、直前にはもう1度自分の態度を振り返り、好印象を持ってもらえるように努力することが大切です。
面接での職種別の選定ポイント
志望する職種に合わせて、面接対策を徹底することは、採用率の向上へとつながっていきます。ここでは、職種別の面接対策について解説します。
営業職の選定ポイント
営業職として採用面接を受けるのであればとにかく心も体も健康で活力に満ちている事をアピールしましょう。営業は体が資本です。健康な人間には逆境を乗り越える力があり、会社のために全力で試練に立ち向かってくれるはずだと期待してもらえます。
経理・総務の選定ポイント
経理や総務を希望している人は選定ポイントが変わってきます。より几帳面さや真面目さが求められているので、理論的な話し方のできる人材が印象を残します。
研究室・企画開発の選定ポイント
研究室や企画開発を志望するのならより実践的な経歴が重宝されます。大学での研究や取得している資格などから自分の能力をアピールするようにしましょう。
面接でよく聞かれる質問とその意図、質問への対策
対策のために、面接でよく聞かれる質問をいくつか挙げておきましょう。
自己紹介をしてください
意図
あなたがどのような人であるか、そしてどのような話をするのかを知りたい、というものです。自己紹介は第一印象を決定付ける重要な瞬間ですし、自己PRの一環でもあります。
対策
自己紹介は1分から2分程度に収めるのが理想です。簡潔で構造的に整えた話し方が求められます。
まずは、名前や学歴、職歴などの基本情報を伝え、その後で自分の強みやキャリア目標について説明しましょう。また、面接官の視線を意識し、明るい笑顔を忘れずに。
実際に声に出して練習し、スムーズに話せるよう準備しておくと良いでしょう。
志望動機は何ですか?
意図
あなたがなぜその企業を選んだのか、そしてその企業にどのように貢献できるのかを知りたいという意図があります。企業側は、応募者の本気度や適性を見極めるためにこの質問をしています。
対策
志望動機を伝える際には、その企業を選んだ理由と、自分のキャリア目標を関連付けて話すことが重要です。企業研究をしっかり行い、その企業がどのような価値観やビジョンを持っているかを理解してください。
次に、自分の経験やスキルが、どのように企業の発展に貢献できるかを具体的に述べます。「なぜこの企業を選んだのか」「なぜこの職種を希望しているのか」を明確にし、企業への熱意を伝えましょう。
事前にしっかり準備しておき、質問された際に自信を持って答えることができるように練習しておくと安心です。
あなたの長所と短所は何ですか?
意図
自己分析の能力や、自分自身を客観的に見ることができるかどうかを確認することです。また、職場でどのように適応するかの判断材料にもなります。
対策
長所と短所を伝える際には、具体例を用いることで、説得力を持たせることが重要です。
まず長所については、自分自身が得意とするスキルや強みを一つか二つ選び、具体的なエピソードを交えて説明します。次に短所については、自覚している課題を率直に伝え、その上で改善策や克服するための努力についても話すと良いでしょう。
例えば、「時間管理が苦手ですが、スケジュールアプリを導入して改善に努めています」といった具体的な対策を示すことで、前向きな印象を持たせることができます。
自分の特徴を見直し、自信を持って伝えられるように準備しておきましょう。
5年後、どのような仕事をしていたいですか?
意図
応募者が自身のキャリアをどのように考えているか、そして、その企業で長期間働く意欲があるかを確かめたいというものです。
対策
どのような役職に就きたいのか、どのようなスキルを身につけたいのかを明確に語り、それが企業のビジョンや方針と、どう一致しているかを述べると良いでしょう。自分の未来を見据えた回答を準備しておくことが大切です。
将来のことなんて、どうなるか分からないのに、キャリアなんて話せない、と思う人もいるかもしれません。ですが、心配はいりません。面接官も、話した通りになるとは思っていません。
自己分析と企業研究をしっかりと行ったうえで、現時点での、キャリアビジョンを語れるように、しっかりと準備しましょう。
まだまだある、よくある質問の例
『これまでの人生で頑張った事を教えてください』
『あなたは仲間内でどのような人間だと思われていますか』
これらの質問が聞きたい事は、自己分析がきちんとできているかどうかです。
『これまでの人生で印象に残った言葉を教えてください』
この質問では、あなたの価値観が試されています。
いずれも、自分の経験をしっかりと振り返っていなければ良い答えは返せないので、自己分析を怠らないようにしましょう。
『わが社以外に志望していますか?わが社は何番目に入りたい企業ですか?』
あなたの熱意を試す質問なので、できるだけ好意的な答えを返すほうが望ましいといえます。
逆質問の意味と良い逆質問
逆質問とは志望者から面接官に行う質問のことです。
面接の終盤で『何か質問はありますか』と聞かれる事があるので、気になったことは質問するようにしましょう。
逆質問ではあなたの熱意とともに分析力や洞察力も試されています。あらかじめ用意した質問をするよりも、面接の中でわきあがった興味や疑問を解消するための機会にしたほうが、面接官からの印象は良くなります。
そのためにも、杓子定規な会話ではなく、面接官としっかりと向き合って、言葉のやりとりをするような意識を持ちましょう。
逆質問では給料面などの採用条件を聞く人もいますが、場合によっては印象を下げてしまうので、面接の雰囲気を判断し、適していない時には遠慮しておくほうが無難です。
質問の意図がわからない場合
面接で質問の意図がわからない場合は、焦らずに対応することが大切です。質問の意味が曖昧であると感じた場合は、もう一度質問を確認しましょう。
例えば「すみません、その質問の意図をもう少し具体的に教えていただけますか?」と尋ねることで、相手も親切に説明してくれるでしょう。質問の背景や狙いを理解することで、適切な回答ができるようになります。
また、事前に企業研究をしっかりと行い、企業が求めるスキルや価値観を理解しておくことも、質問の意図を掴む手助けになります。
新卒でよくある質問集を参考にして、企業の志望動機や自己紹介、キャリアに関する質問に対して自信を持って回答できるように準備することもおすすめです。これにより、質問の意図を理解しやすくなり、的確な回答ができるようになります。
面接マナーで気を付けるべきポイント
マナーに迷った時には相手の立場になって考えましょう。相手が不快感を抱くような行為を避け、丁寧な印象になるように振る舞えば大きく間違うことは避けられます。
ここでは、代表的な3つのポイントについて解説します。
面接マナーのポイント①入室時
間違いやすい面接マナーとして、部屋に入る際のノックの回数があります。2回ではなく3回鳴らして入室するのが正しいとされています。
また、入室後のドアの閉め方も注意が必要です。面接官に背中を向けると失礼になると思い、後ろ手でドアを閉める人がいますが、これはかえって失礼にあたります。背中を向けていいので丁寧にドアを開け閉めしましょう。
面接マナーのポイント②挨拶
挨拶の際、お辞儀をしながら挨拶する人がいますがこれもNGです。まずは相手の顔を見て大きな声で挨拶をし、それから深くお辞儀をします。
面接マナーのポイント③WEB面接
最近ではWEB面接も当たり前になってきましたので、対策が必要です。
まず、安定したインターネット環境を整え、できるだけ雑音の少ない静かな場所で面接を受けることが重要です。さらに、カメラの位置を調整し、画面上での姿勢や表情にも気を配りましょう。
また、開始時間の何日前に再確認するのかなど、細かいスケジュール管理も忘れずに行ってください。もちろん、服装や身だしなみも対面面接と同じレベルで整えておくことが大切です。
面接マナーのまとめ |
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・部屋に入る際のノックは3回鳴らす ・入室後のドアは面接官に背中を向けていいので、丁寧に開け閉めする ・お辞儀をしながら挨拶をしない ・WEB面接では、安定したインターネット環境を整え、静かな環境で受けられるようにする ・相手が不快感を抱く行為を避けて、丁寧な印象になるように振る舞う |
面接終了後に対応すべきポイント
面接終了後は、緊張からの解放感と疲労感で休みたいところかもしれませんが、もうひと頑張りして、面接担当者へのお礼と、振り返りをしましょう。
面接終了後のポイント①面接の振り返りを行う
面接終了後は、まず自身の面接内容を振り返ることが重要です。何を話したか、どの質問に対してどのように答えたか、自己紹介や志望動機の伝え方に自信が持てたかなど、細かくチェックしましょう。
次に、質問リストや質問集をもとに、他にどのような質問に備えるべきだったかを確認し、次回の面接対策に役立てます。
さらに、面接会場の最寄り駅やアクセス方法、受付や控室での振る舞いも再確認しておくと良いでしょう。
面接終了後のポイント②お礼状やフォローメールの書き方
面接後のお礼状やフォローメールを書くことは、ビジネスマナーとして非常に重要です。
まず、感謝の気持ちを具体的に伝えます。例として、「本日の面接ではお忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました」といった挨拶から始めます。
次に、面接で話した内容に触れ、自分の志望動機や応募者としての適性を再度強調します。「本日の面接で御社のビジョンに共感し、ますます働きたい意欲が強まりました」といったコメントが効果的です。
面接で落ちた時、次に活かすための反省方法
面接で落とされることも、就職活動をしている最中ならよくあることです。まずは引きずらないことが大切。気持ちを切り替えて、次の企業の対策を練りましょう。
しかし、失敗を糧にしなければ成長は見込めません。反省の時間を設けることが大事です。
『自分がダメだったから落ちた』と考えるのではなく、『何か不足している点があったから落ちた』と考え、前向きに、自分の伸びしろを探します。
自己流で考えるのではなく、OBや経験者に相談したり、面接対策本を読んだりして自分を磨きましょう。インターネットなどで情報を収集し、通過者の傾向などを把握するのも有効な勉強になります。
そして、これまでの面接プランを修正し、より成長した自分になって次の面接に挑むことが大切です。
面接で失敗する典型例
面接の失敗として多いのは、履歴書と会話で矛盾が生じるなど、ごまかしが露呈してしまう事態です。
面接ではだれもが自分を大きく見せようとします。それは自然なことなのですが、あまりにも実物とかけ離れたことをアピールしてしまうと、すぐに嘘が見破られてしまいます。
また、ごまかしと同じくらい面接官の印象を下げるのは、回答に中身のないことです。自己PRが上手くできず、採用するメリットを伝えられなければ、高確率で落とされてしまいます。
いずれも、自己分析の不徹底が失敗の原因だといえるでしょう。
就職活動とは自分に向き合う時間でもあります。自分の良さをこの機会に見直し、自信を持って主張することで、実りのある就職活動を送る事ができるでしょう。