就活中、面接やOB訪問で繰り返し聞かれ、毎度頭を悩ませるのが、『あなたの就活の軸を教えてください』という質問です。
就活の軸とは、就活においての自分自身の基準。これを作っておくことで、企業選びがしやすくなったり、また志望動機なども明確になったりします。
作った方が良いというのは分かるけど、どうやれば良いのか分からない、という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、就活の軸を作る目的と見つけ方、具体例について解説していきます。
就活の軸とは、志望企業を選ぶ際の基準
就活の軸とは、就職活動において、志望企業を選ぶ際の軸(=基準)となる考え方、になります。イメージしにくい場合は、「あなたの志望する企業全てに当てはまる志望理由」や「あなたが働くときに外せないこと」ぐらいにシンプルに考えても良いと思います。
就活の軸を明確にしておくと、企業選びの際に迷いが少なくなり、自信を持って面接やESに臨むことができます。企業側も、就活生がどれだけ自分の軸に基づいて応募しているかを重視するため、軸がしっかりしていることは大変重要です。
就活の軸を設定する2つのメリット
就活の軸を設定することで、2つの点でメリットを享受することができるようになります。
メリット①|自分に合った企業や業務内容を選びやすくなる
就活の軸は、企業選びに大きな影響を与えます。この軸が明確であることで、就活生は自分に合った企業や業務内容を選びやすくなります。
例えば、「働きがい」を重視する人は、社員同士のコミュニケーションが活発な企業や、自己成長を支援する制度が整っている企業を選ぶかもしれません。一方で、「ワークライフバランス」を重視する人は、フレックスタイム制度やリモートワークが可能な企業に魅力を感じるでしょう。
メリット②|企業からの評価につながる
さらに、就活の軸が明確であることは、企業側からの評価にもつながります。面接やESにおいて、自分の軸に基づいた論理的な回答ができると、企業はその就活生が自社にどのように貢献できるかを理解しやすくなります。そのため、就活の軸は単なる自己満足ではなく、企業とのマッチングを高めるための重要な要素と言えます。
就活の軸の見つけ方
実際に、どうやって就活の軸の見つければ良いのか、解説します。
自己分析の方法
就活の軸を見つけるための第一歩は自己分析です。自己分析は、新卒の学生が自分自身の過去や価値観を整理するプロセスです。これにより、自分が何を大切にし、どのような環境で働きたいかを明確にすることができます。
過去の経験を振り返り、自分がどのような状況で満足感を感じたか、逆にストレスを感じたかを見極めることが重要です。周囲の人に自分の強みや弱みを尋ねることも有効です。また、過去に興味を持った業界や企業を振り返り、なぜ興味を持ったのかを深掘りすることで、自分の軸が見えてくることがあります
価値観の整理と優先順位
自己分析を通じて得られた情報をもとに、自分の価値観を整理し、就活の軸を設定する際にはその価値観に優先順位をつけていきます。たとえば、「チームワークが重視される環境で働きたい」、「社会貢献ができる仕事がしたい」といった価値観を持っているなら、それをリストにして優先順位を決めます。
このプロセスを通じて、自分がどのような条件を最も重要視しているのかが明確になります。具体的な軸設定のためには、自分がなりたい姿や達成したい目標を念頭に置くことが大切です。
就活の軸を設定する際の3つの注意点
就活の軸を設定する際の、3つの注意点について解説します。
注意点①|具体的で現実的な目標設定
「就活の軸」を設定する際には、具体的で現実的な目標を立てることが非常に重要です。自己分析を通じて、自分の強みや価値観を把握し、それに基づいて目標を設定することが成功の鍵となります。
例えば、「自分は新しい業界に挑戦し、自身のスキルを最大限に活かしたい」といった具体的な目標があると、企業選びや面接の際に自信を持った受け答えが可能となります。面接やエントリーシート(ES)でこの目標を効果的にアピールすることが、評価に繋がるのです。
注意点②|学生時代の経験に基づいている
「就活の軸」は、「学生の時にこの活動をして、その時にこれが大切だと考えるようになった。」というように、学生時代の経験に基づいていることがベストです。就活の軸と学生の時に頑張ったことはセットで考えると良いでしょう。この頑張ったこととの繋がりが「一貫性」となり、面接やESでの“わかりやすさ”につながります。
学生時代の経験については、高校でも大学でも構いません。「いつそう思うようになったか」、「なぜそう思うのか」という質問に無理なく答えられるようにしてください。「学生の時の○○という経験から、○○を就職活動の軸とし、中でも○○の理由からこの業界を志望し、○○という理由で御社を志望しています」の一連の流れを矛盾なく、説明できるかチェックしましょう。
注意点③|一貫性と柔軟性のバランス
「就活の軸」は一貫したものであるべきですが、同時に柔軟性も持たせる必要があります。一貫性を持つことで、企業側に対して自身の信念や価値観が明確であるとアピールできます。
しかし、現実的には企業ごとに求められる人材像や価値観は異なります。そのため、自分の軸に多少の柔軟性を持たせ、各企業の特性や業界の動向に合わせて微調整することも重要です。
一貫性を保ちつつも、柔軟に対応するために、まず自己分析で自分の優先事項をリストアップし、それを基にいくつかの「軸のバリエーション」を用意しておくと良いでしょう。このようにしておくことで、面接やESで多様な質問にも対応でき、企業への適応や共感を示すことができます。
就活の軸の具体例
ここでは実際に、どのような「就活の軸」があるのか、具体例を挙げていきます。
人・組織文化に関する基準
人や組織文化に関する基準は、企業の雰囲気や価値観、同僚との相性などに関わる要素です。例えば、「オープンなコミュニケーションが取れる環境が整っている会社」や「多様性が尊重されている文化」などが該当します。
就活の軸を設定する際、人や組織文化はその企業で長期間働き続けるための非常に重要なポイントになります。自分がリラックスできる環境や、自分の価値観に共感する同僚と働ける企業を選ぶことが、満足度の高い就職に繋がります。
仕事・事業内容に関する基準
仕事や事業内容に関する基準も「就活の軸」としてよく取り入れられる要素の一つです。具体的には、「自分が興味を持てる製品やサービスを提供している企業」や「将来にわたり成長が見込まれる業界」などがあります。
この基準を設定することで、入社後も高いモチベーションを維持し、自己成長を図ることができます。自己分析を通じて、どのような業務に関わりたいかを明確にすることが求められます。
企業理念に関する基準
企業理念は、その企業が存在する意義や、社会にどのような価値を提供するかを表すものです。「社会貢献を重視する企業」や「持続可能な経営を目指す企業」などが具体例として挙げられます。
企業の理念に共感できることは、日々の業務に対するモチベーションと直結しています。新卒の就活では、企業理念と自身の価値観が一致するかどうかを確認することが重要です。
働き方・環境に関する基準
働き方や環境に関する基準も「就活の軸」として重要です。具体的には、「ワークライフバランスを重視する企業」や「リモートワークやフレックスタイム制の導入が進んでいる企業」などがあります。
自分が働きやすい環境や、長く続けられる働き方を選ぶことで、精神的な負担を減らし、幸福感を高めることができます。面接やESでは、これらの基準に基づいて企業選びをしていることを伝えると、説得力が増します。
まとめ
就活の軸は、企業研究や自己分析、OBOG訪問を繰り返すうちに変化していくものです。そのため、就職活動中は心の片隅で考え続けるようにすると、自然と説得力のある就活の軸が見つかっていくはずです。
就活の軸は誰しもが一度はぶつかる難問ですが、是非皆さんが自信を持って話せる就活の軸を見つけられるまで、考え抜いてください。
その答えが、企業に説得力を感じさせ、且つ、皆さん自身が納得のいく軸になると思います。