人生100年時代と言われている昨今、健康志向の増加により、ヘルスケア市場は拡大傾向にあります。今やAIやIoTの技術などが幅広い分野で導入されており、IT企業によるヘルスケア業界への参入も増加しています。そこで今回は、ヘルスケア業界の動向から課題や成長戦略について詳しく解説します。ぜひ、業界や企業研究の参考にしてください。
ヘルスケア業界の動向とは?
ヘルスケア業界には、医療機関や製薬会社をはじめ、健康食品・フィットネスクラブ・介護施設といった健康や福祉に関連した業界も含まれます。そのため、市場規模が非常に大きいのが特徴です。
近年は高齢化の影響で、国の社会保障費が問題となるほど医療機関の利用者が増加しています。一方で勤労世代には、健康志向の高まりからフィットネスクラブやサプリメント、健康食品などが注目を集めています。
これらのことから、今後もあらゆる世代で健康やライフスタイルへの関心が高まっていくものと思われます。ヘルスケア業界は、人生100年時代というフレーズと共に成長を遂げていくことでしょう。
今後の課題
経済産業省の調査によると、2016年のヘルスケア産業の市場規模は約25兆円でしたが、2025年には約33兆円まで拡大すると予想されています。研究や開発が進むことで、さらなる発展が見込める業界と言われています。しかし新薬をはじめとする研究開発には膨大な額の研究費が必要となります。今後の最大の課題として、研究・開発にかかる費用をどのように捻出し、業績を伸ばすかが挙げられるでしょう。
成長戦略
IT企業をはじめ、電子機器や食品などの異業種メーカーが、独自の技術力やノウハウを活かしてヘルスケア業界と連携・参入する流れが加速しています。さらには小売店・ドラッグストア・スポーツサービス業などで、医療機関と連携したサービスを提供する取り組みも増えています。業務提携やM&Aなどによる業界や職種を越えた連携が、すでに始まっています。今後も既成の枠にとらわれない柔軟な発想と戦略が、ヘルスケア企業の成長に繋がっていくことでしょう。
ヘルスケア業界の主な企業
武田薬品工業株式会社
1781年に創業した老舗企業で、医薬品の研究開発・製造・販売・輸出入が主な事業です。グループ全体の従業員数は2万7,000人を超え、2018年の売上高は1兆7,705億円となっています。
ドラッグストアで販売されているものから医師が処方するものまで、数多くの医薬品を生み出しており、研究開発戦略では「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患(GI)」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の3分野に焦点を当てています。
オリンパス株式会社
1919年創業、カメラや映像機器をはじめとする精密機械器具の製造販売を主な事業とする企業です。グループ全体の従業員数は3万5,000人を超え、2018年の売上高は7,865億円となっています。
精密機械で培った技術力を活かし、1950年に世界初の実用的な胃カメラを開発。その後も医師と共同で内視鏡技術の改良を進めるなど、医療分野と積極的にかかわりヘルスケア業界に参入しました。早期診断から低侵襲治療までを支える技術は、同社最大の事業分野となっており、現在は売上高の70%以上が医療事業となっています。
ユニ・チャーム株式会社
1961年に創業し、グループ全体の従業員数は約1万6,000人、2018年の売上高は6,882億円です。
不織布、吸収体の加工、成形分野の技術を活かして、さまざまな世代をターゲットとした商品とサービスを提供しています。現在は、ベビーケア・フェミニンケア・ヘルスケア・クリーン&フレッシュ・ペットケアの5つが事業の柱です。特に高齢者をターゲットとしたヘルスケア分野では、排泄ケア用品の需要が高まっています。
ヘルスケア業界で働く人の仕事内容
ヘルスケア業界は、医療機関・介護施設・フィットネスクラブ・健康食品企業などさまざまな業種の企業で構成されている業界です。そのため仕事内容も多岐に渡っています。
研究・開発
研究・開発部門の主な仕事内容は、医療機器・医薬品・健康食品・サプリメントなどの研究や開発です。メーカーごとに独自の技術力を駆使して、最新技術や製品を生み出しています。原材料の知識と併せて、コストや安全性など、多くの知識が求められるでしょう。
MR(Medical Representatives)
MRは「医薬情報担当者」を意味し、医薬品の有効性や副作用などを、医師をはじめとする医療関係者に明確に説明することが主な仕事内容です。
MRになるには、製薬会社などに入社後、MR認定センター主催のMR認定資格試験資格取得が必要です。資格取得後も、次々と開発される医薬品の情報を随時把握して提供する必要があるため、常に学ぶ姿勢が問われます。
商品企画
商品企画部門の主な仕事内容は、顧客ニーズやトレンドに合わせた商品を企画することです。機能性や利用シーンなども考慮したより良い商品を生み出すために、情報収集や研究開発部門との連携業務を行います。
新規顧客開拓のために市場調査を行ったり、新製品の販促企画を立てたりすることもあります。
先輩の声
ヘルスケア業界は医療などの既存業界だけでなく、最近ではIT業界の企業が多く参入してきているので企業選びの選択肢が多いです。ヘルスケア領域は世界的にも今後伸びて行くことが予想されており、その中でも日本は先進国の中で高齢化が最も進んでいるので、日本で成功が世界のデファクトスタンダードを作れるという点に魅力を感じで就活をしていました。
おわりに
ヘルスケア業界は、高齢者を中心として幅広い世代が関心を持つ業界です。今後はますます成長することが予想されますが、異業種からの参入も多いため、競争率は高まりそうです。
ヘルスケア業界には、医療から健康食品までさまざまな業界や職種があります。そのため、就職先としての選択肢は非常に多いでしょう。ヘルスケア業界を希望している就活生は、業界研究と企業研究をしっかり行い、自分の目標や適性にマッチした企業と職種を見つけるようにしましょう。