エネルギー業界は、私たちが生活をしていく上で必要不可欠な業界です。そのため、安定しているイメージがあるかもしれませんが、ガスや電気の自由化で少し様相が変化しています。では現在、業界にはどのような変化が出ているでしょうか。
今回は、エネルギー業界の最新動向と将来性について詳しく解説していきます。エネルギー業界に就職を希望している就活生は、業界研究の参考にしてください。
エネルギー業界の動向とは?
エネルギー業界は大きく分けると「電力」「ガス」「石油」の3種類に分類され、どのエネルギーも私たちが生活していく上で欠かせないものです。そのためエネルギー業界は人気の就職先であり、電力会社・ガス会社・石油会社と企業も豊富にあります。
エネルギー業界の動向を見ると、2016年4月から始まった電力自由化に伴いガス会社や携帯会社など、他業種の企業が電力小売業に参入し事業を展開しています。
また、2017年には都市ガスも自由化となりました。電力とあわせて価格やサービスの面で競合他社との差別化を図るため、各企業は独自のプランを打ち出しています。今後は競争が激化していくものと思われます。
石油事業に関しては、低燃費カーや少子化の影響でガソリンへの需要減少が予想されており、供給過剰を防ぐために原油からガソリン・石油などを精製する装置の稼働数を減らすなどして、対策をとっています。
今後の課題
電力・都市ガスの自由化に伴いさまざまな企業がエネルギー業界に参入してきており、顧客獲得競争の激化が予想されます。そこで、価格帯の設定や新サービスの企画・提案などが課題となってくるでしょう。
また、需要減少が予想されている石油事業は、高機能化学品といった高い付加価値を持つ製品の生産などで、競争力を維持・向上させることが必要となってきています。
成長戦略
現在、環境に優しい低燃費カーや太陽光発電などの新しいエネルギー技術が続々と開発されています。エコロジー意識の浸透にあわせ、環境への影響も考慮したエネルギーの供給方法や新エネルギーの開発を進めることが、成長戦略には欠かせない要素となってくるでしょう。
また。グローバル化を進めて効率の良い企業経営とエネルギー確保を実現することも重要なため、海外への事業展開を始めているエネルギー企業が登場しています。
エネルギー業界の主な企業
東京電力ホールディングス株式会社
大手電力会社の1つである東京電力は、関東を中心に発電・電力供給を行う企業です。2016年度の連結売上高は約5兆3,600億円。2011年に起きた東日本大震災の影響で企業年金の減額や早期退職者を募るなど、社員が経営に不安を持つ時期がありました。
しかし現在では、新卒採用も再開するなど安定した運営がなされています。
東京ガス株式会社
都市ガスや電気を製造・供給する東京ガスは、ガス企業の中でも大手の企業となります。2017年の連結売上高は約1兆8,000億円、国内外に事業拠点を持ち、グローバルな事業展開をしています。
現在は新たな検針システム構築に向けて東京電力パワーグリッド株式会社と共同実証に乗り出すなど、次世代に向けた取り組みを意欲的に進めています。
出光興産株式会社
出光興産株式会社は、石油事業の中でも大手企業の1つです。2017年の売上高は、約3兆7,000億円、石油精精や油脂の製造と販売を主な事業としています。そのほか、不動産業やソフトウエアの開発・販売なども行っており、2019年4月には昭和シェル石油株式会社との統合が決定しました。石油事業以外への事業拡大が期待されています。
エネルギー業界で働く人の仕事内容
電力事業
電力事業を行う企業には、主に次のような部門があります。
①家庭や企業に訪問して電気の契約を結ぶ「営業部門」
②燃料を安定的に仕入れる「燃料調達部門」
③発電所で安全に機械が動いているか点検・整備などをする「技術部門」
④安全に送電・配電ができているかなどを保守・点検する「送電・変電・配電保守部門」
技術職から営業職、事務職にいたるまで幅広い職種があり、希望する職種によっては専門的な知識を求められたり、少しの異常も見逃さない集中力が必要となります。
ガス事業
ガス事業を行う企業には、主に次のような部門があります。
①家庭や企業に訪問してガス供給プランを提案し、ガス契約を行う「営業部門」
②営業戦略を考えたりイベントやサービスの質を向上させるなど、営業職を支援する「営業支援部門」
③ガス機器やシステムの開発、ガス原料や発電の仕組みなどを研究・開発する「研究・開発部門」
④ガスの安全供給のために必要な設備・器具の管理や交換などを行う「設計部門」
電力事業と同様に幅広い職種があり、専門的な知識をさまざまな部門で活かすことができます。
石油事業
石油事業行う企業には、主に次のような部門があります。
①卸売店への石油製品の提案や経営サポートを行う「営業部門」
②新しい石油施設の設計・建設、油田の調査・採掘を行う「インフラ開発部門」
③石油製造場や工場で設備の管理などを行う「プロダクションエンジニア部門」
④新燃料などの研究開発、社会的課題に関する対策・提言などを行う「研究・開発部門」
特にプロダクションエンジニアは専門的な知識が求められる技術職となります。そのほかにも多くのエンジニア職、事務職などがあります。
先輩の声
エネルギー業界は、私たちの生活に欠かせない電気やガスを支える、大変やりがいを感じる業界です。非常に人気のある業界なので、選考の準備はしっかりとしておく必要があります。OB訪問などを利用して、ネットでは得られない情報を自分だけの武器にすると有利に選考が進められるでしょう。
おわりに
暮らしに欠かせない電気やガスなどを供給している「エネルギー業界」。以前は競合他社が少なく安定した業界だと言われていました。しかし、電力・都市ガスの自由化に伴って異業種からの参入が増え、競争が激しくなってきています。エネルギー業界に就職を希望している就活生は、業界研究と共に企業研究もしっかりと行い自分に合った企業を見つけましょう。