日本発信のエンターテインメントとして海外にもファンが多いアニメーション。近年では、「アニメーション業界で仕事をしたい!」という熱意を抱く方が増加中です。
今回は、アニメーション業界の職種や、代表的な職種であるアニメーターの年収・将来性、制作現場のスケジュール感などについてご紹介します。
アニメ業界の職種
アニメーション制作には多くの職種が関わっています。アニメーション業界の代表的な職種が以下の通りです。
アニメーター
アニメーターは、アニメーションのキャラクターに動きをつける職種です。現在の現場では工数、コスト面のメリットから、CGによる作業も積極的に取り入れられています。
アニメーション監督
アニメーション制作現場における監督は、演出家とパートナーシップを組み、演出の表現方法に関する取りまとめを行います。監督によって作風が大きく変わることも珍しくありません。
CGクリエイター
CGクリエイターは、アニメーション制作現場におけるCGのスペシャリストです。2000年頃まで主流だった、セル画によるアニメーション制作の時代が終わり、制作環境がデジタルや3DCGに移行するにつれて欠かせない存在となりました。
演出家
演出家はアニメの演出面を担当するスタッフです。絵コンテ起こしや、作画打ち合わせといった作業を担当します。演出を作品に落とし込むため、アニメーターをはじめとする他のスタッフと打ち合わせを行うことも少なくありません。
脚本家
脚本家は、アニメーション作品のストーリー創作を担当します。具体的には、ナレーションが話すテキスト、キャラクターのセリフ作りなどが脚本家の仕事です。
アニメーターの年収は?
アニメーション制作現場において代表的な職種であるアニメーター。年収はどの程度なのでしょうか?
労働形態についてはフリーランスが主流です。アニメーション制作会社、スタジオに正式雇用される場合も、完遂させた仕事に応じて出来高制で賃金が支払われるケースが大半となっています。そのため、効率よく作業できない新人アニメーターの場合、生活に十分な収入を得るのが困難なこともあるようです。
労働環境に関する調査を行った日本アニメーター・演出協会からは、20代で平均年収110万4,000円、30代で213万9,000円というデータが発表されています。20代、30代ともに国民の平均的な年収よりもはるかに低く、収入面では厳しい状況です。また、福利厚生は整っていない現場が多く、健康保険、年金は自己加入しなければならないケースもあります。
アニメーターの将来性は?
上述したように、アニメーターの収入面、福利厚生といった状況は決して良くはありません。アニメーション業界で中長期的に仕事をしていくことを考えると、アニメーターからキャリアアップしていくことが前提となります。しかし、生活がままならないことから、現状ではキャリアアップ前にリタイアしてしまう人材がほとんどです。
一方、このような状況を鑑み、業界では労働環境を改善し、未来の人材を育てていく動きが見られています。この先、アニメーション制作現場は、少しずつ参画しやすい業界になっていくかもしれません。
制作現場の忙しさは?
アニメ制作現場の忙しさは、職種や制作に携わる作品の形態によって違います。しかし、納品前のスケジュールが過密な時期は、職種に関わらず泊まり込みで作業をすることも珍しくありません。各職種との連携をとる制作進行の業務では、24時間態勢で仕事を進める必要もあるでしょう。
おわりに
現役でアニメーション業界に携わっている方は、口々に「アニメが好きなだけではやっていけない」と語ります。収入面や労働環境は厳しく、純粋な「アニメが好きな気持ち」だけでアニメーション業界に飛び込み、ドロップアウトしてしまう方は少なくありません。
一方、過密スケジュールの中チームで作品を仕上げる達成感や、視聴者から届けられる好意的な反響は何にも変えがたい喜びだと語る方もいます。
今や日本の代表的な産業になったアニメーションに携わりたいという強い気持ちがある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。