繊維業界は変革中?繊維商社・メーカーは今後どうなる?

2018.10.29企業研究・業界研究
繊維業界は変革中?繊維商社・メーカーは今後どうなる?

商社と聞くと総合商社をイメージする就活生は多いと思います。実は日本に存在する商社のうち総合商社はほんの一部で、多くは専門商社だというのをご存知でしょうか。今回はその中でも繊維を扱う業界、繊維商社やメーカーについて解説します。

就活生にはあまり馴染みがない業界かも知れませんが、就職先としては人気があり、志望する学生がたくさんいます。本記事を参考に業界への理解を深め、ぜひ就活を成功させてください。

繊維業界の動向とは?

繊維業界の動向とは?

繊維業界は、主に衣料品に使用する繊維や素材などを開発してアパレル関連と強い繋がりを持っていました。

しかし、近年は海外の繊維や素材が格安であることから多くのアパレル企業は海外繊維に移り、国内の繊維商社は苦戦を強いられています。

そんな中、衣料品などに使用する綿や麻・羊毛などの天然繊維にこだわるのではなく、素材開発に力を入れ需要のある化学繊維を生み出しています。

化学繊維に力を入れていることから、従来のアパレル企業との繋がりも持ちつつ自動車メーカーや医療メーカーなどとも取引をする時代になりました。化学繊維の発展と共に低迷していた繊維業界は、盛り返しを見せています。

また世界的にも、2016年の繊維最終需要量は1990年比で約2.3倍の8800万トン、ほぼ横ばいの天然繊維に対して化学繊維が過去20年間で年平均5.8%の伸び率で拡大するなど、繊維業界は今後も成長が予測されています。

今後の課題

繊維業界の今後の課題としては、いかに新たな高性能繊維や素材を生み出し、業績を上げるかということです。

衣料品などに使用する繊維や素材などでは、海外の格安繊維や素材に打ち勝てていない現状の繊維商社。特に中国の繊維業界は急成長をとげ、多くのアパレル企業は中国の繊維商社とへ流れていきました。

しかし、長年の厳しい国際競争の中を生き残った日本企業におけるものづくりの地力は強く、世界で高い評価を得ています。その高い技術力を最大限に活かして需要のある新繊維や素材を開発し、減少傾向にある国内の市場規模を立て直すことも必要でしょう。

成長戦略

従来の衣料品などに使用している天然繊維や素材よりも、自動車メーカーや医療メーカーなどが使用する化学繊維の開発・流通に軸足を移し、堅調に業績を伸ばす企業が登場しています。このように、飛行機や自動車の部品に使用する産業用の炭素繊維など、海外でも需要の高い分野において高性能な新繊維を開発することが、今後の繊維業界の発展に繋がることでしょう。

また、繊維や素材の研究や開発の技術を転用し、樹脂や化学フィルムといった繊維とは異なる製品の開発や研究を進め、窮地に追い込まれた状況を上向きに転じた繊維メーカーもあります。繊維の技術を活かしてマーケットを広げることも、成長戦略の一つとして重要な要素となるでしょう。

繊維業界の主な企業

繊維業界の主な企業

戦略や研究・開発に力を入れるなど、さまざまな企業努力をして繊維業界をけん引している企業を3社ご紹介します。

東レ株式会社

1926年設立、国内外の関係会社を含めた総従業員数が45,000名ほど、2017年度の連結売上高が約22,000億円という大企業です。国内だけでなく、海外にも事業を広く展開していることから世界的にも有名な繊維商社となります。

主な事業内容は、繊維・機能化成品・炭素繊維複合材料・環境エンジニアリング・ライフサイエンスに関する製品の製造・加工に加え、分析・調査・研究等のサービス関連事業と、非常に幅広い事業展開を行っています。

海外への進出を強化していること、繊維製品にこだわらない製品開発やもの作りに力を入れて他業種との関りを深めることで、業績を伸ばしているといえるでしょう。

帝人株式会社

1918年創立、国内外合わせて従業員数は19,000名ほど、2017年度の連結売上高は約8,300億円となっています。東京都と大阪府に本社を構え、グループ会社数を見ると、国内は59社であるのに対し海外が104社であることから、海外での事業展開に力を入れている繊維商社といえるでしょう。

事業も、高機能繊維・化成品・複合成形材料、医薬・在宅医療、ITといった多岐にわたる内容をグローバルに展開しており、今後の発展が期待できます。

住江織物株式会社

創業は1883年、130年以上の歴史を持つ繊維商社です。グループ全体の従業員数は2,830名、2018年5月末の連結決算では売上高が約978億円となっています。先の2社に比べると規模が小さいように思えますが、繊維商品に注力した事業内容から見ると、かなりの奮闘ぶりといえます。

特筆すべきは、美術工芸織物、手織りで作る緞帳(どんちょう)や緞通(だんつう)など、日本古来の伝統技術を取り入れた製品作りを強みとしているところです。少なくなってしまった貴重な人材である「手織り職人」が居ることは、他の繊維商社にはあまりない特徴といえるでしょう。

繊維業界で働く人の仕事内容

研究・開発

繊維や素材の研究と開発を行います。また、商品の安全性や性能を見極め評価することも仕事となっています。研究・開発部門で働くには、繊維や素材の知識、研究や開発に必要な技術力を持つことが必要になります。

商品開発

新たな機能や付加価値を持った繊維製品を生み出す仕事です。また、取引先から提案された企画などを商品化する研究や開発も、仕事内容に含まれます。今後の世の中の流れとニーズを的確にキャッチする力、売れる商品を開発する企画力などを磨く必要があるでしょう。

営業

取引先の開拓や顧客への新商品売込みなど、営業の仕事内容は多岐に渡ります。営業力がある商社は逆境に負けない強い商社だと言われるほど、商社にとって重要なポストになります。

具体的には、新規開拓先への商品の売込み・顧客からの要望の把握や価格などの交渉・新商品のプレゼンテーションなどを担います。また、顧客からの要望などを研究・開発部門に的確に伝え、改善や新商品の開発の手助けをすることも重要な仕事となります。

先輩の声

繊維業界は、国内の取引だけでなく、海外に進出している企業が多く、グローバル思考が必要とされます。そのため、留学経験や語学力が他の就活生と差をつける強みになると思います。また、繊維業界は新しい素材や技術の開発に力を入れているため、チャレンジ精神も大切です。

おわりに

中国など海外の格安繊維の登場で、打撃を受け低迷している繊維商社もあります。しかし、持てる技術を活かして幅広い分野で必要とされる製品を開発し、売上高を伸ばしている企業や、世界の中で1社しか生産できない化学繊維を開発した企業も存在しています。

わが国の繊維業界は、繊維に機能を付与し、性能を高める技術において世界をリードしており、さらなる活躍が期待できるといえるでしょう。世界的にはまだまだ伸びると予測される繊維業界。今後の動向から目が離せません。

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